無為な日常
 
昨日と同じ今日、今日と同じ明日・・かい?
 



EGG宇多津本店10月定例会(1)



あぁ、分かってたさ。これがチャンスということはな



集まった面子を見たとき俺は眩暈がした。そこにいる者たちは皆異様だったからだ
見た目か? 確かに内二人はおかしい。十数歳にしか見えない少女、もはや隠居してもおかしくない老人。
この場に奴がいることもどこか奇妙だ・・・タイミングが、良すぎる
最後の一人は表情が読めない、一見まとも"には"見えるが・・・・・・・
だが、そんなものよりこの場にいる者すべてが何かがおかしい、そう身にまとってる雰囲気が
・・・俺含めてな





目の前に強い衝撃が走り埃が舞う・・・あぁ、俺は生きている、か

「そんなんじゃ、あぶないよ」

目の前にいる少女はまるで何事もなかったように言う。彼女が俺を引かなければ今頃ここにあるのは俺の死体
・・・何者だ。素直な感謝よりそれが先に浮かぶ
俺はこれでも現役だ。有能と言い切ることはできんが決して無能でもない。現場も良く知っている
だが・・・彼女は





『さぁ、超えて見せろ』

ホールに響く声が途絶えた。目の前にいるは暗黒の化身。それも、二体。それはゆっくりと台座を降りた

「これは、厳しいな」

巨大な戦斧を持つ男がつぶやく。あぁまったくもってその通りだ。こんな大物、俺は初めてだ

「だが邪悪を打つが我が使命」

自分の丈ほどの剣を持つ男が言う。この常套句に耳にタコができるが・・・今回は頼りにはなる
・・・見れば他二人もどこか緊張しているようだ。そうさ相手は絶対的。だが

「・・・援護を頼む」

老人はうなずくと聞きなれない言葉をつむぐ。それが俺たちの得物に光を、力を宿らせる

「いくぞ・・・!!」

死闘の、始まりだ





死の幻影を幾度見たことか・・・だが俺はここにいる。奇跡的に死者はなし。傷は魔法で癒したが皆精神的に極限だ。だから戦いの起きたこの扉の前で休憩を挟む。しかし、俺にはやることがある
さきほど戦斧持ちと会話した・・・奴は、白か? 現時奴には下の回を確認してもらっている
・・・そう今行動できる者が俺しかいない状況。やれることは、しておくか





「これは・・・」

その光景に皆息を呑んだ。そこには見たことがないものが並べて安置してある。見たことはない、だが知っていた
皆の顔色を見る。驚いたような顔、興味を持ったような顔、複雑・・・葛藤してそうな顔
だが、俺には彼女の寂しそうな顔が気になった

「どうした」

「ちょっと、ね。―――」

ふぅ、と俺はため息を吐く

「どうしたら救われると思う」

「・・・それは――」

あぁ、何をしてるんだ俺は






奥にはここの主のものあろうと思われる部屋と、大量の資料があった

「ここに・・・」

老人は部屋を確認した瞬間一目散にかけていった。まぁ彼の考えを汲み取れば当然だろう。俺も情報を仕入れるべく右手にあった机に向かった。机の上には一冊の古びた本、それは

「日記、ね」

いつの間にか横に来ていた少女が言った。あぁまず間違いない

「ねぇ、最後から・・・この場所の結末から、見ない?」

・・・とくに異論はなかった。そこには―――
彼女のため息が聞こえた。彼女はこの結果を知っていたのだろう。それを確認・・・いや、確かな形で知りたかったに違いない。そしてそこにはもう一つ重要なことが書いてあった
俺は彼女を見る。彼女はすまなそうな、それでいて寂しそうな表情で俺を見た。そして彼女は俺に語る。そして彼女は聞いてきた

「あなたは、何者?」

・・・俺は・・・

「俺は、ただのしがない冒険者だよ」






それは、止まっていた
いや誰しも信念や行動理念はある。それが強ければ他人に譲れなくなる。またそれは一人に二つ以上あるときもある。気をつけなくてはいけないのは時にそれは矛盾が発生する。
まぁ、つまりそういうことだ。ここに正しいこともないし悪いこともない、そうだろ? だからこそ人は悩む、そして欲する。結末を

「このままで埒があかん・・・しょうがあるまい」

老人はそう言うと右手を振るった






「起きて!!」

彼女の声によって覚醒する・・・状況把握、男二人はまだ寝ている、そしてこの部屋のそとから逃げてゆく足音が聞こえる。よし意識を失ったのは僅かな時間のようだ。つまり、老人は賭けに出た、そして賭けに負けた。彼女の強い意思によって
だが彼女は次の行動に戸惑っているようだ。二人を起こさないといけないけど、そうすれば老人は逃げる。だから、俺は言った

「・・・くっ、まだきつい。俺は二人を起こしてから行く。先に奴を追ってくれ」

彼女はうなずく。そしてすばやくこの部屋を出て行った。彼女の速さなら問題はない。さて、
実際のところ頭はすっきりしている。あれは彼女をこの部屋から追い出す口実に過ぎない
老人は賭けに出たが、負けてしまった。では、勝った者は?

・・・そうさ、今、ここに、全ての状況が、がそろった
・・・そうさ、今、全てが、俺の思うとおりに、動いている

俺は腰にある得物に手をかけた



ピシッ、

心の中で、音が聞こえた気がした



10月2日(月)17:34 | トラックバック(0) | コメント(0) | TRPG/BG | 管理

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